大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(う)2861号 判決

被告人 李欽善

〔抄 録〕

ところで、ある被疑事実の取調に当り被疑者を拘禁するには裁判官の発する令状によることが必要であることは令状主義の立前から当然であるが、既に適法になされている被疑者の逮捕勾留中に当該逮捕勾留の基礎となった事実以外の事実について被疑者を取調べる場合にも必ず当該事実毎に裁判官の令状が必要であると解すべきではなく、右逮捕勾留の基礎となった事実以外の事実であっても、逮捕勾留の基礎となった事実と犯行の場所、手口方法等が類似するなど実体的に密接な関連がある事実については、逮捕勾留の基礎となった事実について逮捕勾留の理由および必要が存続しており右事実の捜査に付随し、これと並行して取調がなされる限り、令状なくして被疑者を取調べても令状主義に反する違法な取調ということはできないものと解すべきである。本件は、前記のとおり被告人が大島つむぎ窃盗の事実で逮捕勾留中、該事実についての取調の過程で被告人らから本件ニットドレス窃盗に関する供述が付随的になされたものであるところ、証拠によると、大島つむぎ、本件ニットドレスのいずれも前記新宿伊勢丹において窃取(万引)したというものであり、犯行日も昭和四六年一〇月ないし一一月または一二月中旬と近接しているなど犯行の場所、方法、月日、罪質等実体的にも密接な関連があることが認められるから、大島つむぎの事実についての逮捕勾留中になされた本件ニットドレスについての被告人の取調は何ら違法ということはできず、その余の所論に徴し、記録ならびに当審における事実取調の結果、とくに浦塚警察官の当審尋問調書を合わせ検討しても被告人に対する捜査手続には何ら違法、不当のかどは認められない。

(石田 藤原 小林昇)

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